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AIエージェントで業務を自動化!仕組み・活用シーン・導入判断のポイントを解説

2026年3月5日15分
AIエージェントで業務を自動化!仕組み・活用シーン・導入判断のポイントを解説

こんにちは、シェルシステムです!

月曜の朝、出社してメールを開くと未読が30件。 その半分は「先週の会議の議事録ください」「この請求書の処理どうなってますか」といった確認や催促。返信しているうちに午前中が終わり、午後には会議が3本… 気づけば本来やりたい業務ができないまま、一日が終わってしまう。

こんな経験ありませんか。

問い合わせ対応、議事録作成、経費精算、データ集計。 これらは必要な仕事ですが、「誰かに任せられないかな」と思うことも多いはずです。

そんな「誰かに任せたい仕事」を本当に任せられる存在として注目されているのが「AIエージェント」です。 本記事では、AIエージェントとは何か、という基本から、実際に弊社がAIエージェントを開発した事例を元に、具体的な作り方のステップ、開発手法の比較、そして一年後も色褪せない成功の秘訣まで、網羅的に解説します。


AIエージェントとは何か?【3つのキーワードで学ぶ基本概念】

具体的な開発事例を見る前に、まず「AIエージェント」そのものが何であるかを、3つのキーワードでシンプルに理解しておきましょう。

1. 目的を与えると、自律的に動く「アシスタント」

AIエージェントは、単に質問に答えるだけではありません。
「〇〇を達成して」という目的を与えると、その達成のために必要な計画を自分で立て、行動します

人間のアシスタントに「来週の大阪出張を手配しておいて」と頼むのを想像してみてください。
優秀なアシスタントは「何日の何時頃に…」と聞き返すのではなく、「Aさんの過去の出張履歴から、好みの時間帯の新幹線と、駅近のホテルを予約しておきました」と、先回りして行動してくれるでしょう。AIエージェントは、これに近い動きをデジタル上で行います。

実際の事例
例えば、海外では「MultiOn」のようなAIエージェントが注目されています。
これは「友人の誕生日にウーバーイーツでピザを送って」と指示するだけで、Webサイトにログインし、商品をカートに入れ、決済までを自動で行うことができます。

2. 複数の「ツール」を使いこなす

人間が仕事でExcelやWebブラウザ、メールソフトを使い分けるように、AIエージェントも様々な「ツール」を使いこなします。

Web検索、データベースからの情報取得、ファイル作成、メール送信など、目的達成に必要なツールを自ら判断して連携させ、実行します
先ほどの「大阪出張の手配」という目的のため、AIエージェントは、

  1. カレンダーアプリ(ツール①)にアクセスして、あなたの空き時間を確認し、
  2. 乗り換え案内サイト(ツール②)をWeb検索して、最適な新幹線のチケットを探し、
  3. 予約サイト(ツール③)で座席を確保し、
  4. 経費精算システム(ツール④)に仮申請を行う、 といった一連のツール連携を、人間の操作なしに実行します。

実際の事例
Microsoftが発表した「Copilot」は、まさにこの思想を体現しています。
Wordで文章を書きながら、Excelのデータを参照してグラフを作成させたり、PowerPointのスライドを要約してOutlookでメール送信させたりと、Office製品群を横断して使いこなす能力を持っています。

3. 試行錯誤し、「学習」して賢くなる

AIエージェントは、一度の失敗で止まりません。
実行した結果がうまくいかなければ、「別の方法を試そう」と試行錯誤します。さらに、成功したパターンや失敗したパターンを学習することで、同じタスクを繰り返すほど精度が上がり、より賢いアシスタントへと成長していきます。

もしAIエージェントが予約しようとした新幹線が満席だったら、「満席でした」と報告して終わりにするのではなく、「では、30分後の別の新幹線を試してみよう」あるいは「飛行機という選択肢はどうか?」と、別の手段を自ら試みます


実際の事例
Google DeepMindが開発した「Robotic Transformer 2 (RT-2)」は、ロボットアームに「ゴミを拾って」と指示すると、Web上の画像から「ゴミとは何か」を学習し、見たことのないゴミでも掴もうと試行錯誤します。
この試行錯誤の経験自体が、ロボットをさらに賢くしていきます。

この「①自律性」「②ツールの利用」「③学習能力」こそが、AIエージェントを従来のAIやRPAと一線を画す存在にしているのです。
では、このAIエージェントが実際の業務でどのように動くのか、次に弊社が開発した具体的な事例を見ていきましょう。

AIエージェントでできること【当社の開発事例で解説】

AIエージェントを理解するために、従来の「生成AI」や「RPA」との違いを、実際に弊社が開発した「提案書自動作成AIエージェント」を例に解説します。

従来のやり方:分断されたツールと手作業の限界

これまでも、営業担当者は様々なツールを使っていました。

  • 文字起こしツールで、会議の録音データをテキスト化する。
  • ChatGPTに「この議事録を要約して」と指示する。
  • 社内ファイルサーバーで、過去の類似提案書をキーワード検索する。
  • PowerPointを開き、コピー&ペーストを繰り返してスライドを作成する。

これらは一つ一つが便利なツールですが、ツールからツールへ情報を引き継ぐのは、すべて人間の手作業でした。この「手作業の連続」こそが、本来時間をかけるべき顧客理解や戦略策定の時間を奪う原因だったのです。

弊社で動いているAIエージェントについて

今回開発したAIエージェントは、これらの分断された作業を一つの連続したプロセスとして自動化します。


営業担当者が行うのは、Web上の専用画面に「会議の録音データ」をアップロードし、プロジェクト名を入力するだけ。 あとはAIエージェントが、人間のように思考し、実行します。

【AIエージェントの思考と行動プロセス】

  1. 【知覚】顧客の状況を深く理解する
    • まず、音声認識ツールを自ら起動し、録音データを正確に文字起こしします。
    • 次に、生成された議事録の全文を読み込み、「顧客が抱える課題」「予算感」「導入希望時期」「キーパーソンの発言」といった重要なポイントを自動で抽出・構造化します。これは単なる要約ではなく、提案に必要な要素を抜き出す「読解」です。
  2. 【推論】最適な解決策を組み立てる
    • 抽出した顧客課題に基づき、「どの製品が最適か?」「過去に似た課題を持つ顧客は?」「その時の成功事例は?」といった思考を行います。
    • この思考に基づき、社内の製品データベースや過去の提案書が格納されたファイルサーバーに自らアクセスし、関連性の高い情報を複数検索・比較検討します。
    • 最終的に、最も効果的と思われる製品情報、導入事例、料金プランを組み合わせ、提案ストーリーの骨子を組み立てます。
  3. 【実行】手を動かし、成果物を生み出す
    • 組み立てた提案ストーリーに基づき、提案書を作成。
    • 弊社のデザインテンプレートを元に、「表紙」「課題整理」「解決策のご提案」「導入事例」「料金」といった各スライドを一枚ずつ自動で生成します。グラフや表なども、データに基づいて適切に挿入されます。
    • 最終的に、数十ページにわたる提案書のドラフトが完成し、担当者に通知が届きます。
  4. 【学習】経験から学び、賢くなる
    • 営業担当者が最終的に手直しして完成させた提案書を、AIエージェントは「正解データ」として自ら学習します。
    • これにより、次回以降、より人間の意図に近い構成や表現で提案書を作成できるようになり、使うほどに精度が向上していきます。

このように、単に「答える」だけでなく、与えられた目的に対して自律的に思考・計画し、複数のツールを人間のように使いこなし、具体的な成果物を最後まで作り上げる——これが、AIエージェントの本質的な価値です。

比較項目

AIエージェント

生成AI (ChatGPT)

RPA

役割

自律的なアシスタント

物知りな相談相手

手順通りの作業員

動作原理

目的を理解し、計画・実行

指示(プロンプト)に応答

設定された手順を繰り返す

柔軟性

高い(状況変化に対応可能)

中(対話の中で調整可能)

低い(手順の変更が必要)

得意なこと

複数のツールを横断する業務

情報収集、壁打ち、文章作成

単一システム内の定型作業

AIエージェントが得意な仕事の特徴

「そもそもAIエージェントはどんな仕事が得意なのか」を押さえておきましょう。
自社の業務が当てはまるかを考えながら読んでみてください。

特徴①:繰り返し発生する定型業務

AIエージェントが最も力を発揮するのは、毎日・毎週のように繰り返し発生する業務です。
1回あたりの作業時間が短くても、積み重なれば大きな効果になります。逆に、年に数回しか発生しない業務は、AIエージェントを設定する手間のほうが大きくなることもあります。

特徴②:手順やルールがある程度決まっている

「こういう場合はこう対応する」というルールが明確な業務ほど、AIエージェントは正確に動けます。
完全にマニュアル化されている必要はありませんが、「聞かれれば説明できる」程度にルールが存在していることが前提です。毎回ゼロから判断が必要な業務は、現時点では人間が担うべき領域です。

特徴③:複数の情報源やツールをまたぐ

AIエージェントの強みは、複数のシステムやデータソースを横断して作業できる点です。
「Aのシステムから情報を取得して、Bのデータベースと照合し、Cのフォーマットで出力する」——こうした作業は人間がやると手間がかかりますが、AIエージェントなら一気通貫で処理できます。

逆に、一つのツール内で完結する単純作業であれば、従来のRPAやマクロで十分な場合もあります。

AIエージェント開発の3つのアプローチ【自社事例から見る選定のポイント】

AIエージェントを開発するには3つのアプローチがありますが、それぞれ一長一短です。弊社の「提案書自動作成AIエージェント」開発プロジェクトを振り返りながら、選定のポイントを解説します。

アプローチ①:ノーコード/ローコードツール活用

プログラミングをほとんど、あるいは全く行わずにAIエージェントを構築できるプラットフォームを利用する方法です。

  • メリット: 開発スピードが圧倒的に速く、非エンジニアでも構築可能。コストを抑えて素早くPoC(実証実験)を始められる。
  • デメリット: カスタマイズの自由度が低い。複雑な業務ロジックや、特殊なシステムとの連携には向かない場合がある。
  • 弊社事例での検討: 当初、DifyなどのツールでPoCを行いました。議事録の要約やキーワード抽出は可能でしたが、セキュリティの担保や要件を満たすのが難しく、本格開発には不向きと判断しました。

アプローチ②:フルスクラッチ開発(内製)

Pythonなどのプログラミング言語と、各種フレームワークを使い、完全に自社で開発する方法です。

  • メリット: カスタマイズの自由度が最も高い。自社の業務フローやセキュリティ要件に完璧に合わせたエージェントを構築できる。
  • デメリット: 高度な技術力を持つエンジニアが必要。開発期間が長く、コストも高くなる傾向がある。
  • 弊社事例での選択: 最終的にこのアプローチを選択しました。理由は、独自の業務フロー(議事録→DB検索→パワポ生成)に完全に対応する必要があったためです。

【現場エンジニアのワンポイント】 「今回の開発の肝は、ファイル作成部分でした。単にテキストを流し込むだけでなく、弊社のデザインフォーマットに沿ったスライドを生成する必要があったため、既存ツールでは限界がありました。フルスクラッチ開発は大変ですが、こうした『かゆいところに手が届く』実装ができるのが最大のメリットです。」

アプローチ③:外部サービス委託/SIerに依頼

AIエージェント開発の専門企業やシステムインテグレーターに開発を依頼する方法です。

  • メリット: 専門家の知見を活用できる。社内にリソースがなくても、要件定義から開発・運用まで任せられる。
  • デメリット: コストが最も高くなる可能性がある。自社にノウハウが蓄積しにくい。

開発アプローチ

開発スピード

コスト

カスタマイズ性

必要な技術力

① ノーコード/ローコード

速い

低い

低い

低い

② フルスクラッチ開発

遅い

高い

高い

高い

③ 外部サービス委託

普通

高い

高い

不要

【自社事例】提案書自動作成AIエージェント開発の全5ステップ

実際に弊社が「提案書自動作成AIエージェント」を開発した際の、リアルなプロセスを5つのステップでご紹介します。

ステップ1:目的の明確化(営業の「非効率」をなくす)

  • 課題: 営業担当が提案書作成に一人あたり月平均40時間を費やしており、顧客との対話時間が圧迫されていました。
  • KPI設定: 「提案書作成に関わる時間を80%削減(月40時間→月8時間)」を目標に設定しました。

ステップ2:PoC(まずは議事録の要約から)

  • 内容: いきなりファイル生成は目指さず、まずは「議事録データをテキストで要約し、顧客の課題とネクストアクションを抽出する」というコア機能だけを、簡易的なUIツールで1週間で開発しました。
  • 検証: 営業チーム数名に使ってもらい、「この要約精度なら使える」「課題の抽出が的確だ」という手応えを得られたため、本格開発へ進むことを決定しました。

ステップ3:アーキテクチャ設計と技術要素の選定

PoCの結果と独自要件から、「フルスクラッチ開発」のアプローチを決定しました。 次に、AIエージェントの全体像であるアーキテクチャを設計し、それぞれの役割を担う技術要素を選定しました。

この「構成要素」で考えることが、特定のツールが陳腐化しても色褪せない、普遍的な設計の鍵となります。

構成要素(役割)

弊社が選択した技術カテゴリ

選定理由・思考プロセス

① LLM

Claude

複雑な指示(議事録の意図を汲み取り、構成を考える)を理解させるため、当時最高レベルの性能を持つモデルを選択しました。ここはAIエージェントの賢さを決める最重要部分です。

② ベクトルDB (RAG)

オープンソースのベクトルデータベース

社内の商材情報や過去の提案書といった独自データを、AIが高速に検索・参照できる「外部脳」として利用するためです。まずは手軽に導入できるオープンソースのものを採用しました。

③ ツール連携

Python + LLMフレームワーク

LLMに様々な「道具」を使わせるための接着剤です。Pythonを共通言語とし、LLMとベクトルDB、後述のPowerPoint生成機能を連携させるために、デファクトスタンダードとなっていたフレームワークを採用しました。

【ポイント】

具体的なツール名は、1年後には変わっているかもしれません。 しかし、AIエージェントが「①LLMで考え、②DBから知識を引き出し、③フレームワークで連携し、実行する」というアーキテクチャの基本構造は、当面の間、変わることはないでしょう。
重要なのは、個別のツール名を覚えることではなく、自社が作りたいAIエージェントには、どのような「構成要素」が必要になるのかを設計する力です。

ステップ4:開発・実装

設計図を元に、1ヶ月という期間で開発スプリントを駆け抜けました。 それは、優先順位を常に見極める、試行錯誤の連続でした。

最初の2週間で、AIエージェントの「頭脳」となるコア機能を構築。議事録から顧客の課題を正確に読み解く読解力と、社内データベースから最適な情報を引き出す検索能力を実装しました。この時点で、AIは「何を提案すべきか」を考えられるようになりました。

その後はAIが考えた構成案を、どうすれば人間が見て分かりやすいスライドに落とし込めるか。 開発チームと営業チームが密に連携し、デザインルールをコードに翻訳していく作業を高速で繰り返しました。

最終的には、完成したプロトタイプを即座に現場に投入。 「このボタンはもっと大きい方がいい」「生成の進捗が見たい」といったUI/UXのフィードバックを反映し、AIエージェントを「動くおもちゃ」から「現場で使える武器」へと、短期間で進化させました。

ステップ5:運用・評価・改善

  • 効果測定: 導入後3ヶ月で、対象チームの提案書作成時間は平均75%削減を達成。KPIをほぼ満たす結果となりました。
  • 改善サイクル: 現在も「こんなパターンの提案書も作ってほしい」「この部分の表現を修正してほしい」といった現場からのフィードバックを週次で収集し、プロンプトの改善や学習データの追加を継続しています。

まとめ:AIエージェントは「実践」から始まる

AIエージェントは、評論を読んでいるだけではその真価はわかりません。 本記事でご紹介した弊社の事例も、最初は「議事録の要約」という小さな一歩から始まりました。 PoCで小さく試し、現場のフィードバックを得ながら、自社の業務にフィットする形に「育てていく」。この実践的なプロセスこそが、AIエージェント導入成功の鍵です。

「どの業務から始めればいいか」「自社の場合はどの開発手法が合うのか」 そんな疑問をお持ちでしたら、ぜひ一度シェルシステムにご相談ください。 AIエージェントを開発・運用した経験に基づき、実践的なご提案をいたします。

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